💬 半七語録・名台詞集
岡本綺堂『半七捕物帳』に登場する名台詞・語録 — 本文からの引用(全 138 句・138 作品分)
幽霊は、ほんとうに出るんでしょうか
幽霊事件の真相を疑う半七の鋭い問い
彼は江戸時代に於ける隠れたシャアロック・ホームズであった
半七を評する結びの名文
こういう時に腕を見せなけりゃあいけねえ
初めての重大事件に臨む若き半七の決意
もう捕まえてしまうと誰でも気がゆるむものですから
半七老人 『石燈籠』
捕り方の油断を戒める教訓
どんなむごい仕置きをしたからと云って…死んだ若旦那が返るという訳でもございません
復讐より情けを選ぶ半七の処世観
ふだんは幾ら好い顔をしていても、人間の心は鬼です
継母への疑念を吐露する生みの母
神様じゃありませんから、なにから何まで見透しというわけには行きません
失敗談を語る前置きの名台詞
なんでも焦っちゃいけませんね
十手を出した失敗から得た教訓
死んだ者の執念もかかっているか知れねえが、生きた者の執念もかかっているに相違ねえ
幽霊事件を現実の犯罪と見抜く眼
今と違って、むかしの番屋の調べはみんなこんな調子でしたよ
番屋の荒っぽい吟味の風習を語る
兄貴が悪いんじゃあねえ。兄貴はおいらの加勢をしてくれたんだ
いたずら小僧の兄をかばう人情
その小さい心の底には、美しい、いじらしい人情がひそんでいる
権太郎にほろりとする半七の場面
わたくしのような者でもお役に立つなら、どうぞそのお国へやってください
事情を知り身を捧げる娘の清らかさ
奥勤めの御女中の右の小指に撥胝があるようでは、御奥も定めて紊れて居りましょう
偽の奥女中を見破る半七の慧眼
女っていうものは皆んなそんなもんですって
嫉妬で男を突き出したお登久を笑う結び
死んだ女は好い面の皮で、さぞ怨んでいるだろうよ
薄情な男を皮肉る半七
ああいう商売の女のやきもちは人一倍で、そりゃあ実におそろしいもんですからね
半七老人 『春の雪解』
女の嫉妬が殺人に至った経緯を語る
辰伊勢の寮の床下にはおきんの死骸が埋まっていたんです
半七老人 『春の雪解』
按摩が感じた異変の真相を示す一言
死んだ者より、生きたものを助ける工夫が大切だから
事件解決より生者の救済を優先する半七
なにが人間の助けになるか判りません。これは広重の絵のおかげで
一枚の絵が事件解決の糸口になった結び
子ゆえの闇から悪い奴に魅こまれて、奥様も一生日蔭の身になってしまったんです
半七老人 『朝顔屋敷』
子を思う母の浅知恵が悲劇を生んだ顛末
旗本屋敷の渡り奉公なんぞしている者はどうも悪い奴が多うござんすからね
半七老人 『朝顔屋敷』
武家奉公の実態を語る半七老人
親孝行の七之助さんは親のかたきを取るつもりで、夢中ですぐに撲ち殺してしまった
猫に見えた母を打ち殺した孝行息子の悲劇
自分もまたこうした不運の親孝行息子に縄をかけない方が仕合わせであったと思った
地の文 『猫騒動』
自滅した七之助への半七の哀れみ
弁天様の申し子はとうとう弁天様に取り返されたのだと世間では専ら噂していました
半七老人 『弁天娘』
縁遠い娘の悲運を結ぶ言い伝え
いっそ死ぬならば、婿を取らないうちに死にそうなもんでしたが
半七老人 『弁天娘』
お此の不可解な最期を悼む
冷たい腹を切るよりも、幾年か生きのびて花々しく討死にした方がましでしたろう
切腹しかけた若侍のその後の人生を振り返る
これはわたくしの手柄でもなんでもない、不意の拾い物でした
手柄を誇らない半七の心境
一羽の鳥のために、四人の人間が命を捨てなければならないかと思うと
鷹一羽に四人の命がかかる理不尽を思う
なに、わたしはお役だから仕方がねえ。そんなに恩に被せることもねえのさ
手柄を自慢しない半七
ほんとうの怪談が少なくって、しまいへ行くと…種の割れるのが多くって困りますよ
半七老人 『津の国屋』
捕物の怪談は種明かしになる前置き
それを思うと、むかしの悪党は今の善人よりも馬鹿正直だったかも知れませんね
半七老人 『津の国屋』
手間のかかった昔の悪事を評して
むむ、広い世間にはいろいろのことがある
奇妙な因縁を噛みしめる半七
おめえにうっかり渡して、又なにかの種に使われちゃあ堪まらねえから
赤児を商売の種にさせまいとする情
大抵の人は殺生の報いだとか因果だとか、すぐにきめてしまったようです
半七老人 『槍突き』
槍突き犯人の動機を語る結び
剣術つかいと御用聞きとが向い合っているところへ、切り込んでくる奴もないもんです
半七老人 『槍突き』
自滅を招いた猟師の無謀を笑う
折角善人に生まれ変ったものを可哀そうなことをしました
半七老人 『お照の父』
過去の罪を悔いた新兵衛の最期を悼む
新兵衛の方は善人になり切っていたんですが、長平の魂はまだ善人になり切らない
半七老人 『お照の父』
善人と悪人の対比を語る
世の中がさかさまになって、年寄りのいう方が間違っていることが随分あります
良次郎をかばって年上の男を諭す
霊ある蛇はわざわいを未然に察してどこかへ立ち去ってしまったのか
大蛇の行方を結ぶ余韻
むかしの人はややもすると斯ういうことを云い触らす。又すぐにそれを信用する
半七老人 『蝶合戦』
迷信に付け込む悪人を戒める結び
善昌は尼だ。髪の油に用はねえ筈だ
木像の油の匂いから正体を看破
舐め筆ではやり出した店が舐め筆でつぶれたのも、なにかの因縁でしょう
半七老人 『筆屋の娘』
因果を感じさせる結びの言葉
一本の筆が廻り廻って二人の人間の命を取るようになったので
毒入り筆の真相を説明する
人間が咬んだのか、獣が咬んだのか、そのくらいのことはすぐ鑑定が付くでしょうが
半七老人 『鬼娘』
科学鑑定のない時代の難しさを語る
種を割ってみれば、その遣り口がめずらしいので、世間をおどろかしただけですよ
半七老人 『鬼娘』
鬼娘の正体を明かす結び
人間の幸不幸は実にわからない
生き残った二人も結局死罪になる皮肉
生きて居りませんと、片輪の母を養うものがございません
復讐を遂げながら生きたかった理由
狐や狸は尊い仏を恐れる筈です
秘仏の所持で狐説を否定する小坊主
無事の時ならばなんでもないことが、大仰に仔細ありげに考えられますから
半七老人 『狐と僧』
探索の心得を語る
どんなものでも蓋がしてあれば判らない
奉納の草履箱で偽行者をあぶり出す
その山師におびやかされて、すぐに疑惑と不安の眼を向けるのを見ても
地の文 『女行者』
幕末当局者の動揺を映す一節
幽霊が死んだら蘇生ってしまうばかりだ
身投げするお豊を抱き止める名台詞
節分の晩に贋物の鬼を焼き捨ててしまったそうです。面白いじゃありませんか
半七老人 『化け銀杏』
結びのユーモア
浅はかな知恵が却っておのれに禍いして、思いもよらない悪事発覚の端緒を開いた
地の文 『雪達磨』
雪達磨の偽装が自滅を招いた皮肉
おれが無理か無理でねえか、南京玉に聴いてみろ
贋金の証拠を突き付ける
火事が取り持つ縁とは、とんだ八百屋お七だ
火事を恋の縁にした男を皮肉る
折角助けた娘は橋場へ行っているあいだに、向うで男が出来てしまった
勘蔵の悲劇を指摘する
かれに魅こまれたが最後、もうどうしても逃げることの出来ない因果にまつわられていた
蛇神の女に魅こまれた男の宿命
とんだ因果で可哀そうなことをしました
半七老人 『あま酒売』
徳三郎の最期を悼む
わたくしが此の世に居りませんと、もう誰も松蔵の墓参りをしてくれる者がございません
復讐を遂げた女の最期の言葉
召捕りの助勢をした素人に対して仕返しをするなどというのは珍らしいことですよ
半七老人 『張子の虎』
女の執念深い復讐を語る
なにも好んで生魚を食うというわけでもない。人を嚇かすためにわざと食って見せていた
半七老人 『海坊主』
海坊主の正体を明かす
男が死のうと覚悟するからには、死ぬだけの理窟があるに相違ない
半七老人 『海坊主』
男の身投げを助けない船頭の習慣
彼は再び絵筆を執らなかった
地の文 『旅絵師』
マリア像を描いた隠密の結末
おげんはやっぱり仕合わせであったかとも思った
地の文 『旅絵師』
切支丹の露顕を逃れて死んだ娘を思う
しょせん死ぬべき女を殺し、まさに死のうとする男を救ったのであった
落雷が三人の運命を変えた偶然
おかんがいよいよ死罪と聞いたときには、私もなんだか忌な心持がしましたよ
半七老人 『雷獣と蛇』
嫉妬の犯人を悼む
どうです、半七先生が面白いじゃありませんか。これでも先生ですぜ
半七老人 『半七先生』
報恩額のいわれを笑いながら語る
おまえさんの顔の色の悪いのは病気じゃあねえ。ほかに苦労があるからだ
仮病の藤太郎を看破する
人間の気が短くなって来たから、誰も彼も競争で早く早くとあせるんですね
半七老人 『冬の金魚』
現代人気質への感慨から昔話へ
ひとりで将棋をさすように、自分でばかり決めてかかってもいけねえ
先入観の松吉を戒める
ようごんす袂の石を捨てなせえ、と俺も相談に乗ろうじゃあねえか
身投げの女を古川柳で説得
殺すほどの悪い奴があるなら、俺がつかまえてやる
剃刀を持つお鉄を押さえて
人形にたましいのはいるというのは無いことじゃない
夜なかの人形の斬り合いを主張
木偶に魂があっても無うてもかまわん
喧嘩を浄瑠璃で逸らす
災難はいくら避けても追っかけて来るんでしょうね
自転車事故から昔の災難へ
一番怖いのはやっぱり人間です
犯人は機械でなく人間だと
貴様たちが商売道具につかっている舶来の人形はどこから持ち出した
蝋人形の首を見破る一撃
日本の人、嘘云うあります、わたくし堪忍しません
片言の抗議が事件の糸口
つまらない怪談をやらなければ、もうちっと寿命があったかも知れない
悪党の破滅を評して
日が暮れると、また一つ目小僧が出るかも知れねえ
空屋敷を引き揚げる際の冗談
畜生……。一杯食わせやがった
孫十郎 『仮面』
狂言に騙されたと気づく
若いとは云いながら無分別、自分から求めて日かげ者になって
半七老人 『仮面』
逐電した侍の浅五郎を評す
灰吹からも大蛇が出るからな
八丁堀同心金太夫 『柳原堤の女』
江戸は油断ならぬと笑う
片輪の子ほど可愛さも不憫さも弥増して
痣の娘を案じる父の心
まったく悪いことは出来ねえ。もう、これに懲りて釣りは止めだ
祟りを恐れて夜釣り断念
天下の役人がこの始末、まったく江戸も末でしたよ
鯉騒動の高山役人を評す
問うに落ちず、語るに落ちるとはそのことだぞ
藤次郎の言葉の綻びを指摘
息をつかせたらこっちが負けです
半七老人 『三つの声』
吟味の極意を説く
犯罪者というものはとかく同じことを繰り返す癖がある
犯人の露顕の端緒を語る
まったく悪い狐です
おまんに化かされた元八を評す
女に怨まれちゃあ助からねえ。おめえも用心しろよ
女房の意趣返しを評して
自分に係り合いのある所へわざわざ近寄って、結局破滅を招くことになる
半七老人 『金の蝋燭』
犯人の習いを語る
世の中に怪談の種は尽きないものです
辰公の幽霊騒ぎを締めて
きょうを命日に線香の一本も供えておくれよ
大阪屋花鳥 『大阪屋花鳥』
引き廻しの馬上から笑う
花鳥は悪い奴だけに、なかなか度胸のすわった女と見えます
獄門の女賊を評す
こいつもなかなかの謀叛人だ。由井正雪が褒めているかも知れねえ
大津屋重兵衛の悪巧みを評す
畜生だって相当の料簡がねえとは云えねえ
鶏の復讐を疑う
恐らく死んだ亭主の魂が鶏に乗憑ったのでしょう
半七老人 『大森の鶏』
お六の言葉を伝える
狐の正体は先ずこの通り、あなたも化かされましたか
半七老人 『妖狐伝』
怪談の落ちを明かす
狐が人を化かすのでない、人が人を化かすのである
地の文 『妖狐伝』
本編の結語
種を洗えばみんなズウフラ式ですよ
半七老人 『妖狐伝』
怪談の正体を一笑に付す
恋に上下の隔てはねえ
お信と若殿の関係を語る
女に惚れられると恐ろしい
三千石の家の潰滅を総括
ここの師匠は化けもんだ、女のくせに女をだまして、金も着物もみんな捲きあげて
文字吉を罵倒して詰問
女が女を蕩して金を絞り取る。これだから油断がなりませんよ
半七老人 『唐人飴』
男女の正体を語る
人を呪わば穴二つとか云うのは、まったくこの事でしょう
半七老人 『かむろ蛇』
蝮に噛まれたお由の自業自得
人間の運は判りません
半七老人 『かむろ蛇』
命拾いしたお袖を語る
誘拐者はこの河豚太鼓を餌にして、七つの子供を釣り出したのであろう
手がかりの太鼓を推察
五十を越していながら、ひどい奴です
半七老人 『河豚太鼓』
白雲堂幸斎を評す
幽霊の観世物を利用して人殺しを思いつくなぞは、江戸時代ではまあ新手の方でしょうね
犯行の手口を評す
むかしの検視はそんな所まで眼がとどきません
髪に隠した釘打ちの真相
菊人形の噂を聞くたびに、わたくしはその昔のことが思い出されます
明治の団子坂を眺めて
異人だの狐使いだのという言葉さえも消えてしまいました
世の変遷への感慨
道楽が昂じると、とかくに何かの間違いが起こり易いものです
絵馬蒐集狂の顛末を語る
飼い犬に手を咬まれるとは此のことで
半七老人 『蟹のお角』
洋犬に噛ませてアグネスを殺す
一寸斬られるも二寸斬られるも同じことで
半七老人 『蟹のお角』
開き直ったお角の白状
人は見掛けに因らないと云いますが、この米屋の奴らは上手にごまかしていたと見えます
悪党の下総屋茂兵衛を評す
案じるよりは産むが易いとは此の事です
順々に出た二人を易々と捕縛
かたきを討たれた吉良の脇指が、今度はかたき討ちのお役に立つ。不思議の因縁ですね
冒頭の導入部
吉良の脇指でかたき討ちをしたら、泉岳寺にいる連中が驚くかも知れねえ
鶴吉の仇討ちを冗談で励ます
髷を切られるのを首を切られるほどに恐れたものです
江戸の髪切りの風習を語る
死んだのはみんな髪切りに出逢った連中だという噂で、わたくしも変な心持になりました
吉原の袋叩き事件を追憶
全くこれが天下を渡す前触れだったのか知れませんね
天下を渡せの一件を総括
今から思えば面白い世の中でした
天狗と旋風の口実を語る
泥坊をつかまえる岡っ引が泥坊に追っかけられたのだからおかしい
半七老人 『廻り灯籠』
物が逆さまになった一件
人間万事廻り燈籠というのは、こんな理窟かも知れませんね
半七老人 『廻り灯籠』
結びの感慨
色男、金と力はなかりけりと、昔から相場は決まっているが
逃げ隠れの三甚を評す
内心如夜叉どころか、夜叉神の面をかぶって悪事を働きやあがる
破戒僧教重を取り押さえて
二朱銀一つだって、ちょろまかせば罪人だが、今夜のところは眼こぼしにしてやる
おぎんを諭して放免
地蔵が踊るのじゃあねえ、踊らせるのですよ
抜け道の仕掛けを見破る
あなたに出逢うと、こっちが縛られ地蔵になってしまいそうで
手帳を出す私への冗談
猫はそれを知って主人を守ろうとしたのかと、人々も初めて覚ったがもう遅い
蛇から薄雲を守った猫の忠義
いくら薄雲の由来付きでも、もうこうなってはどうにもなりません
焼き捨てられた碁盤を語る
おなじ闇祭りの晩だと云うのも、何かの因縁がありそうで
半七老人 『二人女房』
二人の女房の落ちぶれを総括
蝶々も生き物じゃあねえ、薄い紙か絹のような物で上手に拵えたんだろうと思う
吉五郎 『白蝶怪』
白蝶の正体を看破
暗いなかで光るのは、羽に何かの薬が塗ってあるんだな。早く云えばお化けのような物だ
吉五郎 『白蝶怪』
燐薬と菅糸の仕掛けを解く