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『二人女房』で、落語家しん吉の母おさが、おとといの晩とゆうべと二晩つづけて同じ夢を見る。しん吉が「顔を見せると阿母さんがびっくりするから」と俯向いて、顔をあげると「顔は血だらけ……。なんでも砂利のような物で引っこすったように、顔一面に摺りむけている」という夢で、おさはせがれの身に変事があったのではと自身番へ泣き込んで来る。自身番や善八は「お袋があんまり心配しているので、せがれの夢を見たり、せがれの姿を見たりしたのだろう」「夢は逆夢だ」となだめる。しん吉は実際には死んでおらず女郎屋で浮かれていたが、同時期に死んだお八重(しん吉に金を持ち逃げされた女)の死骸が、川を流れて来る途中で砂利に擦られ、顔一面が疵だらけになっていた。半七老人は「丁度しん吉のおふくろが夢に見たような姿でした。してみると、おふくろの夢もまんざら取り留めのない事でも無いようで、お八重の魂がしん吉の姿を仮りて現われたのかも知れません。それとも偶然の暗合とでも云うのでしょうか」と、断定せずに語る。
分類:霊系

📚 登場作品(1)

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