📚 作品データベース
全69作品を番号順に一覧。各作品の登場人物・舞台・怪異・史実・関連作品(本文に言及のあるもの)
常連人物が端役で登場する他作品は登場人物DBの全登場作品リストで確認できます。
全69作品の一覧
全69作品
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🔤 五十音:
🏷 元号:
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No.01
お文の魂 青空文庫 ↗ 元治(1864年)
元号:元治元年(元治 1864年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 小石川西江戸川端の旗本・小幡家の奥方お道が、枕元に現れる濡れた女の幽霊に悩まされ、夫の家を離れたいと番町の兄に訴える。近所の旗本の次男が探索を引き受け、岡っ引の半七に相談を持ち込み、半七は草双紙の幽霊絵と下谷の浄円寺を手がかりに調べ始める。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
小幡家に現れた濡れた女の幽霊は偽り。妻お道が浄円寺の住職の凶運の予言に脅かされ、娘お春が草双紙『薄墨草紙』の絵を見て「ふみが来た」と叫んだのを利用し、離縁の口実に怪談を捏造した。半七が草双紙と破戒僧の仕掛けを見破り、お道は夫の許しを得る。住職は後に女犯で捕まる。
No.02
石燈籠 青空文庫 ↗ 天保(1841年)
元号:天保十二年(天保 1841年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 日本橋の小間物屋菊村の娘お菊が行方不明になり、その後娘と同じ姿の者が現れた夜に女主人のお寅が刺殺される。若き日の半七は庭の石燈籠の苔に残った小さな足跡から身体の軽い女の仕業と見当をつけ、両国の軽業師の一座を調べ始める。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
娘お菊は軽業師の小柳と金次に騙され潮来へ売られていた。母お寅を殺したのはお菊の黄八丈と藤色頭巾で変装し手箱を狙った小柳。半七は石燈籠の苔の爪先跡から女の軽業師と見破る。小柳は逮捕の際大川へ身を投げて果て、金次は遠島、お菊は救い出され清次郎と夫婦になる。
怪異: 幽霊
No.03
勘平の死 青空文庫 ↗ 安政(1858年)
元号:安政五年(安政 1858年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 京橋の鉄物屋和泉屋の年忘れの素人芝居で、若旦那の角太郎が忠臣蔵の勘平の切腹の場で本物の刀で脇腹を貫かれ、二日後に亡くなる。角太郎の生みの母と名乗る常磐津の師匠・文字清の訴えを受けた半七が、和泉屋に内情の探索を始める。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
真犯人は店の番頭・和吉。恋仲のお冬が若旦那角太郎と婚約したのを妬み、素人芝居の勘平の小道具刀を本物の刀とすり替え切腹させた。半七は酔ったふりで店を嚇し、和吉を自殺に追い込む。表向きは乱心として隠され、文字清の継母殺しの疑いは晴れる。
No.04
湯屋の二階 青空文庫 ↗ 文久(1863年)
元号:文久三年(文久 1863年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 手先の熊蔵が、暮も正月も毎日のように愛宕下の湯屋の二階に通う二人の若い武士のことを半七に報告する。半七が武士たちの預け荷を検めると、干枯びた人間の首と奇妙な動物の頭が現れ、その正体に不審を深めて探索を始める。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
怪しい武士二人は強盗ではなく、仇討の助太刀を命じられた勤番武士。探索を怠り湯屋の二階で遊び暮らしていた。首と、龍とも蛇ともつかない怪物の頭の箱は高島家重代の朝鮮由来の宝物。半七の疑いは外れ、高島はお吉と駆け落ちする。質屋強盗は別人で後に吉原で御用となる。
怪異: 干枯びた人間の首と動物の頭(呪具) 蛇
No.05
お化け師匠 青空文庫 ↗ 安政(1854年)
元号:安政元年(安政 1854年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 浅草観音の朝参りの帰り道、半七は踊りの師匠で「お化け師匠」と綽名される歌女寿が、蚊帳の中で黒い蛇に首を絞められて死んでいるのを聞く。去年亡くなった養女の祟りと噂されるが、蛇の様子に不審を抱いた半七は、人間の仕業と見て探索を始める。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
真犯人は歌女寿のかつての情夫である還俗僧。娘の一周忌と盆前に乗じ、夜中に忍び込んで絞殺し、池鯉鮒の御符売りから盗んだ蛇を首に巻き死霊の祟りに見せかけた。半七は蛇が紙で撫でると首を縮める癖から見破り、番屋で御用する。
No.06
半鐘の怪 青空文庫 ↗ 年不詳
年不詳(本文に元号の記述なし)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 下町のある町内で、火事でもないのに半鐘が夜中に鳴り出し、囲い者の女が何者かに襲われたり、干物が盗まれたりと怪事件が相次ぐ。悪戯小僧の権太郎が疑われて縛られるが、その間も半鐘は鳴り続け、事態の収拾に半七が乗り出す。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
騒動の正体は両国の猿芝居から逃げ出した一匹の猿。半鐘撞き・お北の傘・着物・食い物盗みは猿の仕業で、火の見梯子の獣の爪痕から半七が見破り、空家に蜜柑を餌に罠を張って権太郎と共に捕らえる。お咲・佐兵衛・お倉への襲撃は権太郎の兄(十七)の意趣返しだったが、半七は兄を堪忍し「なにもかもみんな猿公の悪戯」として秘めた。猿は八丈島へ遠島となる。
関連: 『お化け師匠』作中で「お化け師匠の家のあんまり遠くないところ」と言及(舞台の位置関係)
No.07
奥女中 青空文庫 ↗ 文久(1862年)
元号:文久二年(文久 1862年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 永代橋の茶店の娘お蝶が、夕方に何者かに攫われて大きな屋敷のような場所へ連れて行かれ、十日ほどして帰ってくるという怪事を繰り返す。今度は戻らぬまま、奥女中と名乗る女が二百両で娘を買い取りたいと申し出て、困り果てた母が半七に相談する。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
お蝶を連れ去る真の目的は、疱瘡で死んだ姫を失い狂った大名奥方の気を鎮める替え玉だった。雪野の告白で真相が判明。偽の奥女中お俊は本物が来る前に娘を奪おうとしたが半七に見破られ許される。お蝶は母ともども奥方と国許へ行き、後に暇を出されて嫁ぐ。
No.08
帯取りの池 青空文庫 ↗ 安政(1859年)
元号:安政六年(安政 1859年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 怪しい伝説で知られる帯取りの池に女の派手な帯が浮かんでいるのが見つかり、その持ち主である市ヶ谷の美しい娘おみよが家で絞め殺されているのが発見される。半七はおみよの身辺にいた若い男の行方を手がかりに探索を始める。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
おみよは大久保屋敷の妾。千次郎との密会が屋敷に露見するのを恐れ、自ら麻の葉の帯で首を縊った自殺だった。駆け付けた千次郎が死骸を整え、帯を持ち出して帯取りの池に捨てた。お登久の家に隠れていた彼を半七が見つけるが、自殺と判明し叱っただけで許される。
No.09
春の雪解 青空文庫 ↗ 慶応(1865年)
元号:慶応元年(慶応 1865年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 雪の降る入谷田圃で、半七は廓の辰伊勢という店の寮に呼ばれる按摩の徳寿が、出養生中の花魁・誰袖のそばに何か気配を感じて通うのを嫌がっているのを聞く。その妙な話が気になった半七は、誰袖の身辺と辰伊勢の内幕の調査を始める。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
真犯人は辰伊勢の花魁・誰袖。若旦那永太郎と関係を持った辻占売りのおきんを嫉妬から絞殺し、仲働きお時と共に死骸を寮の床下に埋めた。おきんの兄寅松と結託したお時たちは永太郎・誰袖を恐喝したが、追い詰められた二人は剃刀で心中。半七が寅松らを御用にする。
怪異: 幽霊
No.10
広重と河獺 青空文庫 ↗ 安政(1858年)
元号:安政五年正月十七日/弘化四年九月(安政 1858年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 浅草の旗本屋敷の大屋根に、身元不明の幼い女の子の死骸が落ちているのが見つかり、半七は広重の名所絵を手がかりに、その身元と謎の解明に乗り出す。また、下谷の道具屋の隠居が川端で何者かに襲われて財布を奪われたと訴え、半七がその調査にもあたる。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
娘お蝶は鷲に攫われ黒沼屋敷の大屋根に落とされていた(広重の鷲の絵が手がかり)。十右衛門襲撃の真犯人は川の河獺で、飛びかかったはずみに財布の紐が十右衛門の首から河獺の首へ移って巻き付き、小判の重みで紐が締まって河獺は自分で自分の首を絞めて死んだ。死骸が浮かび政吉の冤罪が晴れる。十右衛門の嫉妬による偽訴も露見し、金はお元に渡され二人は夫婦になる。
No.11
朝顔屋敷 青空文庫 ↗ 安政(1856年)
元号:安政三年(安政 1856年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 旗本杉野家の若殿・大三郎が、素読吟味に出かける早朝、供の者たちの目を離したすきに忽然と姿を消す。神隠しと噂されるなか、内密の探索を頼まれた半七が、化け物屋敷と名高い朝顔屋敷の内情を調べ始める。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
大三郎の神隠しは狂言だった。素読吟味で小身の子供たちに仕返しされるのを恐れた奥方が、中小姓の山崎平助と又蔵に命じて子を平助の長屋に隠させた。半七が又蔵から秘密を聞き出し、表沙汰にせず神隠しとして収める。後に又蔵はお安と駆け落ち、山崎は手討ち、奥方は里へ返される。
この作品に言及している作品: 『半七先生』半七が「前に云った「朝顔屋敷」の一件」を思い出すと言及
No.12
猫騒動 青空文庫 ↗ 文久(1862年)
元号:文久二年(文久 1862年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 芝神明の近くの裏店で猫をたくさん飼い「猫婆」と呼ばれていたおまき婆さんが、近所の苦情で飼い猫をすべて処分されてから七日目の夕方に急死する。医者は卒中と診断したが、不審に思った半七が、手先の熊蔵の報告をもとにその死の真相を調べ始める。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
猫を沈められた後も婆さんは魚を無心し、魚を持たずに帰った七之助の前に現れた母の顔が、本人にもお初の眼にも猫の顔に見えた。驚いた七之助が天秤棒で母を撲ち殺し、お初・三吉の狂言で隠したが半七に見破られる。七之助は猫を沈めた芝浦で入水自殺した。
No.13
弁天娘 青空文庫 ↗ 安政(1854年)
元号:安政元年(安政 1854年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 神田の質屋山城屋の小僧・徳次郎が、口中が腫れふさがる病で亡くなり、死に際に「店のお此さんに殺された」と遺言を残す。その兄が三百両の金を要求して因縁をつけてくるため、困った番頭が半七に相談を持ち込む。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
小僧徳次郎は、針仕事中の娘お此の部屋へ障子の紙を舐めて破って覗き、その舌先を冗談半分に縫い針で突かれて毒が回り死亡。山城屋は兄徳蔵夫婦に百両で内済するが、金欲しさに夫を殺したお留が発覚し磔刑に。番頭利兵衛が婿となり、そのあくる年に、お此は不忍の池へ身を投げた。
この作品に言及している作品: 『鬼娘』冒頭で「いつかは弁天娘のお話をしましたから」と先行作品に言及
No.14
山祝いの夜 青空文庫 ↗ 文久(1862年)
元号:文久二年(文久 1862年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 箱根の湯本へ見舞いの道中、半七は小田原の旅籠屋に泊まる。その夜、同じ宿の裏二階に泊まった駿府の商人二人が何者かに殺されて金を盗まれる事件が起き、同じ宿に泊っていた武士の家来・七蔵が半七に助けを求めて駆け込んでくる。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
盗賊・喜三郎は箱根関の手形を通すため若侍小森市之助の臨時従者になりすまし、山祝いの夜に同宿の商人二人を殺して金を奪った。仲介した中間七蔵は口止め料十五両を受け取った後、主人の胴巻を盗もうとして手討ちにされ死亡。半七は全てを七蔵の罪にして市之助を助け、後に湯本で喜三郎を捕える。
No.15
鷹のゆくえ 青空文庫 ↗ 安政(1859年)
元号:安政六年(安政 1859年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 将軍家の御鷹匠・光井金之助が品川の遊女屋に泊まった夜、お鷹の緒を振り切って逃がしてしまう。切腹もありうる大事のため、半七は八丁堀の同心から内密の探索を命じられ、飛び去った鷹の行方を追って品川・目黒方面を訪ね歩く。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
将軍家の鷹・雪の山が品川の遊女屋で逃げ出した。銀杏の梢に止まり枝に絡まったところを、お杉と密会に来ていた雑司ヶ谷の鷹匠吉見仙三郎が捕え、大地主当兵衛に百五十両で売ろうとした。半七は鳥さしの雀で土蔵の中の鷹を探り当て取り返し、内密に済ませて四人の命を救う。
No.16
津の国屋 青空文庫 ↗ 弘化(1847年)
元号:弘化四年(弘化 1847年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 赤坂の常磐津師匠・文字春が参詣の帰り道、亡くなったはずの若い娘らしい怪しい女と道連れになる。それ以来、酒屋・津の国屋には死霊の祟りという噂が広まり、やがて女房と番頭が土蔵で変死するに及んで、岡っ引の常吉が探索に乗り出す。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
津の国屋の祟りは全て偽り。親類の池田屋・大桝屋と菩提寺の住職が店の財産乗っ取りのため、矢場女お兼を幽霊に見せかけ、お角と長太郎に女房・番頭を殺させて心中に装った。半七と常吉の探索で露見し、主犯は死罪。後に常吉は文字春と、勇吉はお雪と結ばれる。
No.17
三河万歳 青空文庫 ↗ 文久(1863年)
元号:文久三年か元治元年(文久 1863年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 師走の寒い朝、神田橋の門外で万歳の才蔵らしい男が赤ん坊を抱いたまま行き倒れ死んでいるのが見つかる。赤ん坊は二本の牙を持つ「鬼っ児」で、半七はその来歴を探ろうと香具師や万歳の仲間を詮議し始める。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
鎌倉河岸の行き倒れは万歳の才蔵・松若。彼が抱いていた牙のある赤子は、三河万歳の市丸太夫が猫の償いとして見世物師富蔵に渡そうとしたもの。松若は届け先に向かう途中で凍死した。お津賀と富蔵は酔って倒した行燈の火事で焼死し、市丸太夫は稲荷祠から発見され叱り置きで済む。
No.18
槍突き 青空文庫 ↗ 文政(1825年)
元号:文政八年十月(文政 1825年)
🗣 語られた年:明治二十五年(1892年)
あらすじ(結末には触れません): 文政のころ、江戸の下町で夜な夜な通行人を槍で突き殺す「槍突き」が流行り、岡っ引の七兵衛が探索に当たる。ある晩、駕籠に乗った若い娘が黒猫にすり替わって槍に突かれるという怪事件が起き、七兵衛は手がかりを求めて詮議を進める。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
槍突きの正体は甲州の猟師・作兵衛。兄・作右衛門と同じく、江戸の繁華に嫉妬して竹槍で往来の人間を無差別に突いた。七兵衛が竹槍の手掛かりから猟師を割り出し、剣術家の息子・俊之助の助けで捕える。作兵衛は磔刑。お秋殺しは槍突きを装った長三郎で、咬み切った小指が証拠となる。
怪異: 猫又・化け猫
No.19
お照の父 青空文庫 ↗ 慶応(1865年)
元号:慶応元年五月二十八日(慶応 1865年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 柳橋の芸妓・お照の家に早朝、真っ黒な小僧のような闖入者が飛び込み、父の新兵衛が喉を切られて殺される。女中の奇怪な申し立てと、番屋に止められたお照の様子から、半七は新兵衛の過去に何か因縁があると睨んで探索を始める。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
芸妓屋の親父・新兵衛を殺したのは両国の見世物の河童小僧・長吉。昔、新兵衛は長吉の父・長左衛門と共犯で強盗殺人をし、裏切って密告し長左衛門を磔刑にした。更生した新兵衛を叔父の長平が金目当てに脅し、拒絶されて甥の長吉に仇討ちさせた。長平は捕まり死罪、長吉は遠島となる。
関連: 『向島の寮』末尾で「蛇の方の話」として向島の寮の一件へ続く(続き物語)
No.20
向島の寮 青空文庫 ↗ 慶応(1866年)
元号:慶応二年夏(慶応 1866年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 生薬屋の女中・お徳の妹お通が、向島の奥の寮に奉公に出たが「辛抱していられない」と助けを求める手紙を寄越す。蛇を祀る土蔵へ膳を運ぶうち、お通は土蔵の中で幽霊のような若い女の姿を見てしまい、半七は寮に隠された秘密を探り始める。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
土蔵の幽霊は三島の一人娘・おきわ。後家のお糸と番頭の由兵衛が不義の仲で、財産横領のため娘を寮の土蔵に幽閉し、駈け落ちと吹聴していた。良次郎は濡衣を着せられ隠れていたが、お通を助けて手紙を届け、半七の探索で全容が発覚。お糸は牢死、由兵衛は獄門、六蔵は死罪。
この作品に言及している作品: 『お照の父』末尾で「蛇の方の話」として向島の寮の一件へ続く(続き物語)
No.21
蝶合戦 青空文庫 ↗ 万延(1860年)
元号:万延元年六月末〜七月十六日(万延 1860年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 本所に無数の白い蝶が群がる不思議な「蝶合戦」が起こり、人々は尼・善昌の光明弁天堂の予言を信じて大護摩を焚く。祈祷が終わった翌日、善昌は姿を消し、首のない死骸が見つかって、半七が探索に乗り出す。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
首なし尼の正体は髪結のお国。尼の善昌が、与次郎毒殺と覚光坊主への嫉妬を種に脅すお国を絞殺し、自分の法衣を着せて強盗殺人に見せかけ、首を普在寺の墓地に埋めた。木像と死骸の油の匂いから半七が善昌を逮捕し、善昌は獄門、覚光は追放。蝶合戦は儲けの種に利用された。
この作品に言及している作品: 『筆屋の娘』冒頭「「蝶合戦」の話を聞いたのち四、五日を経て」と前話に言及
No.22
筆屋の娘 青空文庫 ↗ 慶応(1867年)
元号:慶応三年七月二十五日(慶応 1867年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 下谷の筆屋・東山堂の看板娘おまんが吐血して頓死し、検視の結果、毒薬による死と判明する。同じ頃、近所の寺の若い坊主も同じように頓死したことから、一時は心中と疑われるが、半七は筆を巡る細工に不審を抱いて探索を進める。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
姉娘おまんと僧善周の死は心中ではなく毒殺。上州屋の奉公人お丸が、若旦那の嫁取り相手・妹お年を妬み、情夫の薬種屋息子与之助から毒を手に入れ、舐め筆の穂先に塗った。舐めたのは姉で、その筆を舐めた善周も死亡。与之助は逃亡の果てに妙義で捕まり舌を噛み切って死亡、お丸も赤城で絞殺死体で発見された。
No.23
鬼娘 青空文庫 ↗ 文久(1861年)
元号:文久元年七月(文久 1861年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 馬道の辺りで、白地の浴衣を着て手拭をかぶった跣足の女が喉笛を啖い切って殺すという「鬼娘」の噂が広がる。第三の生贄が子分・庄太の隣家の娘に及んだのをきっかけに、半七が探索に乗り出す。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
鬼娘の正体は獣使のお紺。野良犬二匹を仕込み、盗みの際に連れ歩き、見咎めた酒屋の下女・小間物屋の女房・行水姿のお作を犬に喉笛を噛ませて殺した。半七は鶏盗みの一件から犬使いを割り出し、庄太らと罠を張って犬ごと捕える。お紺は獄門、犬は刑場に生き埋めにされる。
関連: 『弁天娘』冒頭で「いつかは弁天娘のお話をしましたから」と先行作品に言及
No.24
小女郎狐 青空文庫 ↗ 寛延(1748年)
元号:寛延元年九月(寛延 1748年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 下総の新石下村で、猪番小屋に集まった若い男たちが松葉いぶしにされて五人も死ぬ怪事件が起こる。村では狐の祟りと噂されるが、八州廻りの目明かし・常陸屋の長次郎は人為の仕業と睨んで探索に乗り出す。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
狐の祟りとされた松葉いぶし殺人は、十四の少女お竹の仕業だった。姉おこよは若者七人の「小女郎狐と親しくしている」という流言で縁談を破棄され自殺。お竹は復讐に猪番小屋の男五人を松葉いぶしで殺害、残る甚太郎・権十は流言の罪で死罪となり、お竹は墓荒らし等の科で所払いとなった。
No.25
狐と僧 青空文庫 ↗ 嘉永(1849年)
元号:嘉永二年秋(嘉永 1849年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 谷中の時光寺の住職・英善が夜半に姿を消し、翌朝、その袈裟や法衣をつけた狐の死骸が溝で見つかる。住職は狐に化かされたのか、狐が住職になり代わっていたのかと噂されるなか、半七は溝で寺の秘仏を拾い上げ、それを探していた小坊主・英俊から話を聞き、探索を始める。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
行方不明の住職英善は、本山擁護派と反対派の宗論暗闘に巻き込まれ、本山派の僧らに拉致され声を奪う薬を飲まされていた。袈裟を着せた狐の死骸は身代わりで、半七は小坊主英俊の証言と秘仏の手がかりで甲州街道の鳥沢まで追跡し住職を救出。四人の僧が捕まり、二人は牢死、二人は遠島となった。
No.26
女行者 青空文庫 ↗ 文久(1861年)
元号:文久元年九月(文久 1861年)
🗣 語られた年:明治三十二年秋(1899年)
あらすじ(結末には触れません): 茅場町に現れた美しい女行者が、京都の公家の娘と名乗って祈祷で金を集めているという噂が立ち、八丁堀の同心から探索を命じられた半七が調べ始める。そんななか、熱心な信者だった紙屋の息子が忽然と姿を消す。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
祈祷で金を集める美しい女行者は公家の娘の偽りで、元公家侍の式部が娘お万を操る偽公家の山師だった。式部は紙屋の息子久次郎を嫉妬から追い詰め、彼は品川沖で水死。半七が祈祷所に踏み込み式部らを捕縛。式部は死罪、お万と妹お千は追放となった。
No.27
化け銀杏 青空文庫 ↗ 文久(1861年)
元号:文久元年十一月二十四日(文久 1861年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 河内屋の番頭・忠三郎が旗本稲川家から質に預かった探幽斎の鬼の一軸と百両の金を抱えて帰る途中、化け銀杏で名高い松円寺の下で何者かに襲われ、大切な品々を奪われる。半七は探索を命じられ、化物の噂の裏を探り始める。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
忠三郎を投げ倒したのは化け銀杏の悪戯を装った小坊主周道で、金と掛け軸と羽織を奪ったのは通りがかった大工の娘婿・博奕打ちの長作だった。半七は質に流れた贋物の掛軸から長作を追及。長作は引き回しのうえ、獄門、松円寺の銀杏は枝を伐り払われた。稲川家は贋物を河内屋に渡しており内済となった。
No.28
雪達磨 青空文庫 ↗ 文久(1862年)
元号:文久二年正月(文久 1862年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 大雪に見舞われた正月、一ツ橋門外の雪達磨が融けると、中から男の死骸が現れる。致命傷もなく、なぜ雪達磨の中に埋められたのか判らない。半七は自分の縄張り内の事件として探索を始め、現場に残された南京玉を手がかりに詮議を進める。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
雪達磨に埋められた甚右衛門は南京玉を砕いて地金にする贋金造りの一員。正月に金の無心を巡る酒席で急死したため、仲間の豊吉ら四人が死骸を雪達磨に埋めて隠した。半七が落ちていた南京玉を手がかりに贋金一味七人を検挙。甚右衛門を除く全員が処刑された。
怪異: 雪達磨
No.29
熊の死骸 青空文庫 ↗ 弘化(1845年)
元号:弘化二年正月二十四日(弘化 1845年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 弘化二年正月の大火事の混乱の中、逃げ出した熊が人々を襲い、湯屋の三助・勘蔵が間一髪で生薬屋の娘を救った。数ヵ月後、その娘が高輪の海辺で殺されて見つかり、半七は探索を始める。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
お絹を殺したのは湯屋の三助・勘蔵。橋場の恋人のもとへ送ると偽って夜に誘い出し、品川行きを疑われて口論になり小刀で刺殺。火事場の熊の毛を手がかりに半七が追及し、勘蔵は獄門。熊の胆を盗んだ番頭四郎兵衛らは追放程度で落着した。
怪異: 熊
No.30
あま酒売 青空文庫 ↗ 安政(1857年)
元号:安政四年正月〜三月(安政 1857年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 安政四年、夕暮れ時に現れて甘酒を売る怪しい老婆の噂が江戸に広がった。出会った者が次々と奇怪な病に倒れ、死に至ることもあるという。詮議を命じられた半七が、その老婆の正体を探り始める。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
あま酒売りの婆さんは九州の蛇神の血筋の女お綱で、男と駆け落ちした娘お熊を探して江戸に来ていた。お熊は男徳三郎の短刀で自害、お綱は同藩の武士に斬られた。半七は事情を察し内分に。徳三郎は江戸払いの後、熱病で宿で死んだ。
関連: 『津の国屋』作中で「いつかお話した津の国屋だって、大詰へ行くとあれです」と別話に言及
No.31
張子の虎 青空文庫 ↗ 文久(1862年)
元号:文久二年三月十二日(文久 1862年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 文久二年三月、品川の遊郭・伊勢屋で人気の遊女お駒が寝床の中で絞殺されているのが見つかった。枕元には謎の張子の虎が置かれており、依頼を受けた半七が探索を始める。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
お駒を絞殺したのは下新造のお定。お尋ね者の松蔵の情婦で、松蔵逮捕の加勢をしたお駒に復讐するため伊勢屋に潜入し、就寝中に絞殺して寅年生まれの松蔵の位牌代わりに張子の虎を置いた。後に番頭吉助も絞殺し、半七に捕まり引き回しのうえ、獄門となった。
No.32
海坊主 青空文庫 ↗ 安政(1855年)
元号:安政二年三月四日(安政 1855年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 安政二年三月、品川沖の潮干狩りに奇怪な男が現れ、颶風と潮の到来を予告して的中させた。その後も生魚をむさぼり食うなど謎の行動が噂となり、半七はその男の正体を追って探索を始める。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
生魚を食う怪しい男は島破りをして海を泳いで逃げた上総無宿の海坊主万吉。海賊喜兵衛らの船に食いついて江戸まで付いて来て、気違いを装いながら囲い者のおとわを手籠めにし、逃走中に彼女を刺殺。神奈川で捕まり引き回しのうえ、獄門。海賊一味も全員検挙された。
No.33
旅絵師 青空文庫 ↗ 文政(1821年)
元号:文政四年五月十日(文政 1821年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 奥州街道を旅する若い旅絵師・山崎澹山は、渡し船で川に落ちた娘を救ったことから、城下町の穀屋・千倉屋に厚遇され逗留することになった。だが、彼の身の上には何か秘密があるようで…
🎬 結末解説(ネタバレあり)
旅絵師澹山の正体は御庭番の隠密・間宮鉄次郎。逗留先の千倉屋伝兵衛は隠れ切支丹で、マリア像の模写と引き換えに藩のお家騒動の秘密書類を渡した。おげんを巡る用人の息子千之丞の夜討ちでおげんが身代わりに死亡。澹山は使命を果たして江戸へ帰還、後に切支丹十一人が磔刑にされた。
No.34
雷獣と蛇 青空文庫 ↗ 文久(1863年)
元号:文久三年六月末(文久 1863年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 浅草の米屋に落雷し娘が雷死し、その後同じ家の男も雷獣に襲われたようにして死んだ。また新宿では、蛇のとぐろから切髪を掴み出した娘が翌夜、刺殺体で見つかる。二つの怪異に不審を抱いた半七が探索を始める。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
雷獣事件は女中おかんの犯行。心中を図り雷でお朝だけが死に、生き残った重吉が相続人になりそうになると、彼を絞殺し顔を掻きむしって雷獣の仕業に見せかけた。死罪となった。蛇の事件は蛇捕りの焼いた髪に蛇が集まったもので、蛇に手を入れたおとくは仲間のおもよ・お大に殺された。
この作品に言及している作品: 『一つ目小僧』「前に「雷獣と蛇」の中にも説明してある通り」と先行作品に言及
No.35
半七先生 青空文庫 ↗ 嘉永(1850年)
元号:嘉永三年七月(嘉永 1850年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 七夕の前日、手習いの清書が不出来で「雷師匠」に叱られた生薬屋の娘・お直が、帰り道に忽然と姿を消した。家出を疑う家族の依頼で、半七が行方不明の娘の探索を始める。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
行方不明のお直は女髪結いお豊宅で、兄の恋人のお紋に喉を絞められ絶息したが、死骸運搬の駕籠中に蘇生。石屋千吉は売り飛ばしを企み隠していたが、半七が清書草紙の手がかりで救出。事件は内分となり、後に藤太郎はお紋と結婚。師匠から報恩額が贈られた。
関連: 『朝顔屋敷』半七が「前に云った「朝顔屋敷」の一件」を思い出すと言及
No.36
冬の金魚 青空文庫 ↗ 弘化(1846年)
元号:弘化三年十一月(弘化 1846年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 師走のお玉ヶ池で、俳諧宗匠・松下庵其月が何者かに斬殺され、女中のお葉が庭の池で水死体となって見つかった。検視を受けて、半七が事件の探索を始める。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
宗匠其月を殺したのは女中のお葉。拷問同然の折檻に耐えかねて剃刀で斬殺し、其蝶のもとへ逃げようとしたが拒まれ、追うはずみで池に落ちて溺死した。其蝶の指の疵は嘘の証拠と見えたが、血染めの手紙で無実と判明し叱られただけで済んだ。金魚の一件は無関係だった。
No.37
松茸 青空文庫 ↗ 文久(1863年)
元号:文久三年八月(文久 1863年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 師走のある夜、半七は両国橋で身投げをしようとしていた加賀屋の女中・お鉄を救った。その後、彼女にまとわりつく謎の若い男が現れ、半七は二人の因縁を探り始める。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
お鉄の仇・安吉は御用松茸の籠に煙管を挟んだ罪で逐電したお尋ね者で、嫁お元の丙午生まれの秘密を握って金を強請り、お鉄を手籠めにした。復讐を決意したお鉄の刃物と半七の追跡で追い詰められ、安吉は不忍池に身を投げて溺死。半七は秘密を内分にし、お鉄は無罪となった。
怪異: 丙午の伝説(男を食い殺す女)
No.38
人形使い 青空文庫 ↗ 安政(1859年)
元号:安政の末年(安政 1859年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 人形使いの若竹紋作と吉田冠蔵は、旅興行中の夜に人形同士が斬り合うという怪異を機に不和になっていた。忠臣蔵の興行を控えた十一月の末、二人は池の端で殺された姿で見つかり、半七が探索を始める。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
紋作と冠蔵は和解の酒の帰りに再び喧嘩。紋作が通りかかった侍・黒崎半次郎の脇差を奪って冠蔵を斬殺し、自らも脇腹を刺して絶命した。黒崎は紋作の叔母に打ち明け、半七が植木屋の使いを尾行して真相を突き止めたが、屋敷の恥を憚り内証にされた。
No.39
少年少女の死 青空文庫 ↗ 元治(1864年〜1867年)
元号:元治元年三月(後段は慶応三年)(元治 1864年〜1867年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 元治元年三月、踊りのお浚いの最中に九つ(数え年)の娘・おていが姿を消し、縁の下で絞殺体となって見つかる。また慶応三年には、大工の息子が原因不明の急病で死に、悲嘆のあまり母が海に身を投げた。二つの少年少女の死に不審を抱いた半七が探索を始める。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
踊りのおていを絞殺したのは田原屋の女中頭おはま。自分の子と同じ年頃の美しい少女を見て嫉妬と狂気から犯行に及び、手拭に残った鉄漿の歯形が決め手となった。牢死。もう一つの事件は継母お菊が継子殺し用に毒を塗った水出しを女中が紙屑屋に譲り、子供二人を死亡させたもの。お菊は死罪、お咲は遠島。
関連: 『筆屋の娘』末尾で「『筆屋の娘』のお話…あれはこの翌月のことで」と明言
No.40
異人の首 青空文庫 ↗ 文久(1861年)
元号:文久元年三月(文久 1861年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 文久元年三月、江戸の質屋に覆面の男たちが押し入り、異人の生首を突きつけて攘夷の軍用金を要求した。同様の押借りが横行するなか、半七は首の出所を探るため横浜へ探索に出向く。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
攘夷の軍用金と称する押借りの「異人の首」は、横浜の商館員ロイドが持ち込んだ蝋人形の首だった。解雇されたボーイ勝蔵が深川の寅吉を誘い、覆面の偽浪士を装って横浜市中で二十余軒を荒らし、千五百両を越える金を巻き上げた(怖れて申し出ない家も多く、判明しているだけで十五、六軒)。半七が横浜で二人を捕縛、二人は死罪。ロイドはピストル自殺した。
怪異: 異人の生首(蝋人形の偽首)
この作品に言及している作品: 『蟹のお角』「半七が『異人の首』の捕物で横浜へ出張った時に、その手伝いをした」と過去の事件に言及(三五郎が関与)
No.41
一つ目小僧 青空文庫 ↗ 嘉永(1852年)
元号:嘉永五年八月(嘉永 1852年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 四谷の鳥屋の主人は、高価な鶉を買うと言った侍に案内されて夜の屋敷へ届けに行き、一つ目小僧のような化け物に脅かされて気を失った。鶉は駄鶉にすり替えられており、その屋敷は空き家だった。騙し討ちと知り、半七が探索を始める。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
一つ目小僧の正体は片目の小按摩・周悦。下駄屋藤助ら悪党一味が空き屋敷に商人を誘い込み、化け物を見せて品物を奪う新手の詐欺を働いた。半七は台所で拾った按摩の笛から周悦を突き止め、藤助・糠目三五郎・権平・馬淵金八らを一網打尽にした。
怪異: 一つ目小僧
史実: 中間・足軽
関連: 『雷獣と蛇』「前に「雷獣と蛇」の中にも説明してある通り」と先行作品に言及
No.42
仮面 青空文庫 ↗ 元治(1864年)
元号:元治元年九月(元治 1864年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 京橋の道具屋に、古い能面を買うと言う男が手付けを置いて帰った。その日のうちに、その仮面は屋敷の家宝だと若い侍が買い戻しを懇願し、儲け話に乗った主人だったが、結局騙されて半七の相談に駆け込む。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
道具屋の孫十郎は「能役者」の違約金七十五両と「西国の藩中」の預かり金五十両を騙し取られた。実は両者は無関係で、能役者繁二郎は足元を見て吹っかけただけ、武士の根井浅五郎は叱責を恐れ金を持ち逐電し目黒で逮捕された。店の仮面は屋敷の物と違う贋物で、本物は不明のまま。
No.43
柳原堤の女 青空文庫 ↗ 慶応(1865年)
元号:慶応初年八月(慶応 1865年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 慶応初年の八月、柳原の清水山のあたりに夜な夜な白い浴衣を着た怪しい女が現れるという噂が立ち、若い者たちの探索が失敗を重ねるうちに、大入道や九尾の狐の怪談にまで発展する。騒ぎが大きくなって八丁堀から声がかかり、半七が探索を命じられる。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
清水山の怪女は雑司ヶ谷の大百姓・庄司家の娘お早。顔に一面の青黒い痣があり、家系に病の筋があると半七は見立てた。大工勝次郎を金で釣って逢瀬を重ねた。父は奉公人に警固させ、勝次郎を拉致して娘に会わせたが、翌朝二人は斬殺されていた。半七は心中として処理。怪獣は貂で、後日捕獲された。
No.44
むらさき鯉 青空文庫 ↗ 文久(1863年)
元号:文久三年五月(文久 1863年)
🗣 語られた年:明治三十一年十月(1898年)
あらすじ(結末には触れません): 文久三年の五月、御留川の江戸川で禁断のむらさき鯉を夜釣りしていた牛込の草履屋の亭主の留守に、怪しい女が訪れてその鯉を持ち去る。その夜、亭主は仲間の男が川に落ちたと話すが、翌朝には亭主自身の死体が江戸川に浮かんで見つかり、吟味のうえ半七の探索が始まる。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
藤吉は御留川のむらさき鯉を密漁し仕出し屋川春に横流ししていた。銀座役人の囲い者お糸は怪談芝居で鯉を奪取。一方、藤吉は川春へ押しかけたところを宇三郎に追われ、井戸に転落死した。宇三郎が死骸を江戸川に捨てた。宇三郎は死罪、富蔵は牢死。お糸は旦那に見捨てられ姿を消した。
関連: 『津の国屋』語り手が「「津の国屋」の怪談が思い出されるような宵」と述べる
No.45
三つの声 青空文庫 ↗ 元治(1864年)
元号:元治元年三月(元治 1864年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 元治元年三月、芝の鋳掛屋・庄五郎が仲間との川崎大師参詣の約束を交わして家を出たまま姿を消し、その日の夕方に芝浦の沖で死体となって見つかる。最初は事故とされたが、若後家をめぐる男たちの争いから疑いが生まれ、半七は当日朝に戸を叩いた「三つの声」の不審に着目して探索を始める。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
庄五郎を海に突き落として殺したのは建具屋の藤次郎。若後家お国を狙い、「冗談半分に庄五郎の声色を使って」平七に罪を着せた。だが隣り町の顔見知りでありながら初めから「おかみさん」と呼んだ(=亭主の不在を知っていた証拠)ことを半七に見抜かれ、熊蔵の平手打ちで正気に返った藤次郎は白状。平七は無実と判明した。
No.46
十五夜御用心 青空文庫 ↗ 嘉永(1853年)
元号:嘉永六年八月十五夜(嘉永 1853年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 嘉永六年八月、押上村の荒れ果てた古寺・竜濤寺の古井戸から、住職と納所、虚無僧ふたり、あわせて四人の死骸が傷ひとつないまま発見される。検視でも死因が判らず、十五夜の晩にその古寺を訪れた若い女の噂を手がかりに、半七が探索を始める。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
古寺竜濤寺は偽坊主・偽虚無僧の盗賊団の隠れ家だった。女郎上がりのおまんが長崎から入手した眠り薬で、内輪もめの相手ら四人を眠らせてしまい、お鎌と共に古井戸へ沈めた。秘密を知る元八も同じ手で殺害し井戸に捨てたところを半七に踏み込まれ、二人とも捕縛された。
No.47
金の蝋燭 青空文庫 ↗ 安政(1855年)
元号:安政二年四月(安政 1855年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 安政二年四月、両国橋の工事中の仮橋の下から女の死骸が引き揚げられ、その女が抱えていた風呂敷包みから、芯が金無垢でできた「金の蝋燭」が五本見つかる。江戸城の御金蔵破りとの関係を疑った半七は、女の亭主とおぼしき男の行方を追って探索を始める。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
身投げ女が抱えた金の蝋燭の謎。真相は、大名から江戸役人への賄賂(金棒入り蝋燭)を運ぶ中間を茶屋主人の宗兵衛が絞殺して奪い、夫婦で夜逃げしたこと。女房お竹は夫の悪事露顕を願って蝋燭を抱いて川へ身投げ。宗兵衛は情婦に未練で両国に舞い戻り半七に捕まった。御金蔵破りとは無関係だった。
この作品に言及している作品: 『川越次郎兵衛』「いつぞや『金の蝋燭』というお話をしたことがありましょう」— 前日譚として明記
No.48
ズウフラ怪談 青空文庫 ↗ 安政(1857年)
元号:安政四年九月(安政 1857年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 安政四年九月、駒込の富士裏あたりで、闇夜に誰とも知れぬ声が「おうい、おうい」と呼びかける怪異がはやる。剣術道場の師匠が弟子たちとその正体を見に出かけたまま、傷だらけの死体となって見つかる。半七は遠方に声を送る「ズウフラ」という道具が関わると見て探索を始める。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
富士裏の怪声は質屋の息子辰次郎がオランダ人のズウフラ(呼筒)で悪戯していたのが正体。その怪談に乗じ、弟子の伊太郎(師匠の妻お常と不義)と喜平次(道場乗っ取り狙い)が師匠の岩下左内を闇討ち。目撃した辰公が逮夜に屋根から注意を呼びかけ転落して捕まり全容露顕。伊太郎・お常は磔刑、喜平次は詰腹を切らされたという噂。
この作品に言及している作品: 『妖狐伝』作中で「いつぞやお話をした『ズウフラ怪談』の型にはいる」と言及
No.49
大阪屋花鳥 青空文庫 ↗ 天保(1841年)
元号:天保十二年三月(天保 1841年)
🗣 語られた年:明治三十年三月(1897年)
あらすじ(結末には触れません): 天保十二年の春、浅草観音の開帳で巾着切りに遭いかけた鉄物屋・鍋久の若主人を、美しい娘が救う。その娘は浪人の娘・お節で、やがて鍋久に嫁ぐが、数ヶ月後、突然乱心したように夫を斬殺し、自分も川へ身を投げてしまう。若き日の半七は先輩の徳次と共に、その一件に不審を抱いて探索を始める。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
鍋久の嫁お節の乱心による夫殺しは狂言で、真犯人は島破りの女囚大阪屋花鳥。お節親子・巾着切りの竹蔵らと徒党を組み、お節を嫁がせて金を盗ませた。露顕の危機に花鳥がお節の替玉となって久兵衛を殺害し泳いで逃走、死を装う品川怪談も狂言。牢内で鰻飯を食う噂から露顕し花鳥は獄門、お節も後に古井戸へ身投げした。
怪異: 品川の死骸と片袖の怪談(狂言)
この作品に言及している作品: 『新カチカチ山』「大阪屋花鳥の二代目かと、半七は口のうちでつぶやいた」と言及
No.50
正雪の絵馬 青空文庫 ↗ 安政(1854年)
元号:安政元年三月(安政 1854年)
🗣 語られた年:明治三十年十月(1897年)
あらすじ(結末には触れません): 安政元年、四谷の大木戸ぎわの油屋・丸多の主人は絵馬の蒐集にのめり込み、和田の大宮八幡から由井正雪の絵馬を偽物とすり替えて盗んだと同好の士に吹聴する。噂が広がってお城坊主の次男から大金を迫られる騒動となり、絵馬を抱えたまま主人が家出し、やがて縊死体となって発見されて、半七が探索に乗り出す。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
真犯人は絵馬屋の重兵衛。絵馬道楽の丸多の主人に正雪の絵馬の偽物を掴ませ、さらに「謀叛人の絵馬」を盾に万次郎を使って千両単位でゆすった。家出した丸多主人を口論の末に絞殺し、縊死に見せかけた。その後、娘お絹殺しなどが連鎖し、淀橋の火薬爆発の混乱の隙に重兵衛が逮捕されて全て露顕した。
怪異: 狐
No.51
大森の鶏 青空文庫 ↗ 嘉永(1851年)
元号:嘉永四年正月(嘉永 1851年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 嘉永四年の初大師参りの帰り道、大森の茶屋で一羽の雄鶏が中年の女に突然飛びかかり、散々に傷つける騒ぎが起きる。女はかつて浅草で軍鶏屋を営んでいた未亡人と判り、半七はその鶏との因縁を疑い、彼女の亭主の変死事件と結び付けて探索を始める。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
鶏が旧主人のお六(軍鶏屋鳥亀の女房)に襲いかかった一件から亭主殺しが露顕。お六は客の勇二と共謀し、釣り好きの亭主安蔵を下矢切の川に突き落として殺害し、品川で商売を開いていた。勇二は駈け落ち仲介の文次郎を殺害し、金造はお千恵に刺殺された。お六と勇二は牢死後、晒しの上磔刑となった。
怪異: 大森の鶏
No.52
妖狐伝 青空文庫 ↗ 安政(1859年)
元号:安政六年(安政 1859年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 安政六年の春から夏にかけて、鈴ヶ森の縄手に悪い狐が出て往来の人を化かすという噂が立ち、江戸市中に広がる。若い男が女に化かされて殴り倒されたり、京の商人一行が天狗に脅かされたりする騒ぎのなか、半七は現場の巻煙草の吸い殻から品川沖の黒船が関わると見て探索を始める。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
鈴ヶ森の狐騒動の正体は入墨者の女お此のいたずら(マッチや靴墨など)だった。坂井屋のお糸は脱艦水兵ジョージと駈け落ち同然で姿を消し、巳之助を殴ったのもジョージ。お此は小判掻っ攫いを白状し入墨者ゆえ罪が重く遠島に(贋金づかいの方は証拠不十分)。ジョージは浪士の騒ぎで船へ戻り、お糸は坂井屋へ帰って伊之助と夫婦になった。
No.53
新カチカチ山 青空文庫 ↗ 文久(1861年)
元号:文久元年一月末(当時は万延二年。同年二月二十八日に文久と改元)(文久 1861年)
🗣 語られた年:明治二十六年十一月(1893年)
あらすじ(結末には触れません): 文久元年一月、三千石の旗本・浅井因幡守が妾と娘を連れて砂村の下屋敷へ梅見に出かけ、帰りの屋根船が大川の川中で沈没する。主人と妾、女中二人が死亡し、娘と女中のお信は行方不明となる。船底が何者かに抉られた形跡があると判り、半七が内密の探索を命じられる。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
浅井因幡守の屋根船沈没の真相は、女中お信が若殿小太郎への恋から妾のお早を殺すため叔父の清吉に船底をくり抜かせたこと。当日主人も船で帰り、お早もお春も巻き添えで死亡。お信は泳いで生き延び、若殿を誘い出して呪いの船の中で心中した。清吉・千太は吟味中に牢死し、三千石の浅井家は潰れた。
怪異: 呪いの船(因縁の屋根船)
関連: 『大阪屋花鳥』「大阪屋花鳥の二代目かと、半七は口のうちでつぶやいた」と言及
No.54
唐人飴 青空文庫 ↗ 嘉永(1851年)
元号:嘉永四年四月(嘉永 1851年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 嘉永四年四月、青山の御熊野横町に唐人飴屋の筒袖をつけた人間の片腕が落ちているのが見つかり、近所は騒然となる。ところが当の唐人飴屋は両手そろって現れたが、数日後また同じ場所に唐人の袖をつけた片腕が捨てられ、半七が探索に乗り出す。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
青山の腕斬り二件は、最初の腕は弥兵衛の子分角兵衛に斬られた市川岩蔵のもの、二度目は兄の仇を討とうと照之助が角兵衛の腕を斬って唐人の筒袖を着せて捨てたもの。女役者小三津を隠した常磐津文字吉は女をだます「男女」で嫉妬から小三津を絞殺。文字吉は死罪、照之助は遠島。唐人飴屋はただの道楽息子だった。
No.55
かむろ蛇 青空文庫 ↗ 安政(1858年)
元号:安政五年八月〜九月(安政 1858年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 安政五年、コロリが大流行するなか、小日向の氷川神社に参詣した煙草屋・関口屋の娘お袖たちは、帰り道で伝説のかむろ蛇――切禿の少女の姿を目撃する。やがて軒の八つ手の葉に「お袖死ぬ」の文字が現れ、女中が蛇に咬まれて変死するなど奇怪な出来事が続き、半七が探索を始める。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
関口屋の娘お袖を狙ったのは、勘当された総領の兄・次右衛門と女中のお由、煙草屋の大吉の共謀。かむろ蛇の伝説を利用し、お由が蝮でお袖を殺そうとして自分が噛まれて死亡。それを次右衛門が因縁に六百両をせしめた。生き返っていた年造が次右衛門を殺し、大吉親子が年造を殺害。二人は捕まり、お袖は無事に全快した。
関連: 『お化け師匠』「いつぞやお化け師匠のお話をしたことがあるでしょう」と過去の一件に言及
No.56
河豚太鼓 青空文庫 ↗ 文久(1862年)
元号:文久二年二月(文久 1862年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 文久二年の正月、湯島の天神のお開帳に参詣した神田明神下の葉茶屋・菊園のひとり息子・玉太郎が、混雑のなかで姿を消す。迷子か人攫いかと騒ぐうち、翌朝半七の家に「武士の誓言」と称する預かり状が投げ込まれ、半七が探索を始める。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
玉太郎誘拐の真相は、乳母のお福が植疱瘡を嫌い、占い師の白雲堂幸斎に唆されて弟の佐吉に玉太郎を連れ出させ、次郎吉・お京に預けたこと。幸斎はそれを種に金をまき上げ、お福を手籠めにして白雲堂の二階に監禁したが、魚八から貰った河豚を食って中毒死したため露顕。玉太郎は救出され、お福は忠義ゆえ咎めは軽く済んだ。
No.57
幽霊の観世物 青空文庫 ↗ 安政(1854年)
元号:安政元年七月末〜八月(安政 1854年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 浅草の仁王門そばに出来た幽霊の観世物小屋で、見物に来た女が幽霊に驚いて頓死した。その女が下駄屋・駿河屋の女隠居とわかり、女のくせに一人で怖い方の左の路を進んだことを不審に思った半七が、駿河屋の探索を始める。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
お半(駿河屋女隠居)を殺したのは養子の信次郎と大工の清五郎、お米の三人。お半と信次郎は不義の仲だったが、お半にごろつきの音造が出来、信次郎はお米に走って嫉妬から幽霊の観世物を利用し、清五郎が鉄槌と頭に打ち込んだ釘でお半を殺害。幽霊は生きた役者で証言。信次郎は音造に刺され死亡、音造らは死罪となった。
この作品に言及している作品: 『菊人形の昔』冒頭「「幽霊の観世物」の話が終ると」と前話の続きとして語られる
No.58
菊人形の昔 青空文庫 ↗ 文久(1861年)
元号:文久元年九月(文久 1861年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 文久元年九月、団子坂の菊人形見物に来た英国人たちが巾着切りに遭い、騒動の果てに弥次馬の袋叩きに遭って逃げ去る。そのどさくさに紛れて異人と侍の馬二匹が盗まれた事件の探索を命じられた半七は、現場の空地で狐使いと噂される怪しい市子を目撃し、不審を抱く。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
団子坂の騒動のどさくさに、本郷の旗本神原内蔵之助の馬丁・平吉が西洋馬を盗み、馬好きの主人が自分の厩に隠した。巾着切りのお角も日本馬を盗んだ。市子のおころは管狐を奪われた老女お千に殺害されたが、これは馬とは無関係。平吉はお角の相棒の密告で挙げられ、馬は返還され、お千は遠島となった。
この作品に言及している作品: 『蟹のお角』「この物語は前者の姉妹篇とでも云うべきもの」— 前作の続編
No.59
蟹のお角 青空文庫 ↗ 文久(1862年)
元号:文久二年七月(文久 1862年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 麻疹が大流行する文久二年、子分の多吉が大川で額に「犬」と書かれた裸の男の死骸を入れた早桶を発見する。同じ頃、横浜の居留地で異人の夫婦が変死し、探索を依頼された半七は、異人館で見つけた意外な写真を手がかりに不審を深める。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
ハリソン夫婦と写真師の島田を殺したのは全て蟹のお角。お角は島田と関係し、ハリソンに裸の写真を撮らせた仲だったが、アグネスと島田が犬でお角を襲わせたことに激怒。ハリソンを刺殺し、犬にアグネスを噛み殺させ、島田はモルヒネで殺して額に「犬」と書いて川へ捨てた。お角は挙げられたが吟味中に麻疹で牢死した。
No.60
青山の仇討 青空文庫 ↗ 嘉永(1851年)
元号:嘉永四年九月末〜十月(嘉永 1851年)
🗣 語られた年:明治二十七年五月(1894年)
あらすじ(結末には触れません): 佐倉から芝居見物に上京した百姓の一行が、青山の六道の辻で浪人による仇討ちの斬り合いに出くわす。その夜、一行の金右衛門が何者かに斬られ、連れの娘おさんが拐かされる事件が続いて起こり、半七が探索を命じられる。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
六道の辻の仇討は偽りで、浪人の野口武助が仲間の森山郡兵衛を斬ったもの。金右衛門斬傷とおさん・お種の誘拐は米屋の下総屋茂兵衛の仕業で、従妹お稲を巡る嫉妬による女仇討。茂兵衛は銀八・武助と共謀して為吉も殺そうとしたが、権田原で武助が捕まり露顕。おさんは入水死、お種は生還。茂兵衛と銀八は捕縛された。
No.61
吉良の脇指 青空文庫 ↗ 嘉永(1853年〜1854年)
元号:嘉永六年十二月〜嘉永七年七月(嘉永 1853年〜1854年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 番町の旗本・福田左京とその妾が、中間の伝蔵に殺害される事件が起こる。主人と姉のかたきを討とうと、魚屋笹川の若主人・鶴吉が吉良上野の脇指を手に仇討ちを思い立ち、半七に助太刀を頼む。半七は伝蔵の行方を追って探索を始める。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
主殺しの伝蔵は主人福田左京と妾お関を斬って逃亡。女中お熊の行方を追って堀江が探索されるなか、伝蔵はお熊の奉公先の遠州屋才兵衛を聖天下で殺害した。半七はお台場の人足の中に紛れた伝蔵を発見し、笹川の鶴吉が、伝蔵が殺害に使った吉良の脇指で伝蔵を討つ仇討ちを成就させた。鶴吉は無事、脇指は菩提寺へ納められた。
怪異: 吉良の脇指の祟り(因縁)
この作品に言及している作品: 『廻り燈籠』「『吉良の脇指』も片付かない」と同時期の別事件として言及
No.62
歩兵の髪切り 青空文庫 ↗ 慶応(1865年)
元号:慶応元年二月〜三月(慶応 1865年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 慶応元年、神田小川町の歩兵屯所で隊士たちの髷が次々と切られる怪事件が起こり、世間では猿や狐、逃げ出した豹の仕業だと噂される。小隊長から探索を依頼された半七は、人間の仕業と睨んで隊士たちの身辺を調べ始める。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
歩兵屯所の髪切りの真相は、歩兵の鮎川丈次郎と増田太平が金に釣られて自隊の髷を切っていたことであった。仲介はお房の兄・米吉で、背後に大名屋敷の黒幕(薩州辺りと推定)がいた。押込みは代地河岸のお園宅(鮎川・増田)と金杉の高崎屋(良住・米吉)で犯人が別。米吉は殺され、鮎川はお房と駈け落ちして行方不明、増田も逃亡し黒幕は不明のままうやむやに終わった。
No.63
川越次郎兵衛 青空文庫 ↗ 安政(1855年)
元号:安政二年三月〜四月(安政 1855年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 安政二年、江戸城の大玄関に「天下を渡せ」と呶鳴る男が現れ、その笠には「武州川越次郎兵衛」と書いてあった。川越藩に引き取られる途中で姿を消した男の探索を命じられた半七は、笠の持ち主とされる川越出身の次郎兵衛の行方を追って調べ始める。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
江戸城玄関の「天下を渡せ」騒動の正体は、増村の息子ら大店の若旦那たちの悪洒落。太鼓持の三八(=野州の粂次郎)が褒美金五十両で気違いの狂言を演じ、次郎兵衛の笠をかぶって縄抜けした。女衒のお葉がその秘密で増村をゆすり、三八は殺害も覚悟したが内済で収まった。次郎兵衛は安政の大地震で死亡した。
怪異: 天狗 旋風(縄抜けの方便)
No.64
廻り燈籠 青空文庫 ↗ 安政(1854年)
元号:安政元年(安政 1854年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 日本橋伝馬町の牢から無宿者六人が破牢して脱走する。その中の金蔵が、自分を捕まえた若い御用聞き・三甚に仕返しをすると言い放ったことから、半七が探索を始める。やがて金蔵の仕返しを恐れた三甚が逃げ隠れするという、岡っ引と泥棒が逆転した騒動に発展する。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
牢破りの金蔵は三甚への仕返しを宣言したが、実際に三甚を付け狙ったのは相棒の藤吉で、金蔵は折れ釘を踏んで動けず寝ていた。人違いが続き、半七自身が「金蔵」と間違われて縄をかけられる珍事もあった。藤吉は千住の寺の押込みで捕まり、金蔵も王子で捕縛。三甚は株を捨ててさつきの婿になった。
No.65
夜叉神堂 青空文庫 ↗ 文化(1812年)
元号:文化九年三月(文化 1812年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 渋谷長谷寺の開帳で評判になった奉納の銭の兜から、小判と二朱銀が紛失する。探索を命じられた麻布の御用聞き・兼松は、夜叉神堂の古い鬼の面を納めた箱から紛失した小判を発見し、持ち主が取りに来るのを待って夜の張り込みを始める。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
長谷寺の開帳の銭の兜から小判五枚と二朱銀が紛失。盗んだのは女犯の破戒僧・万隆寺の役僧教重。しかし神前の張子の鬼の面が顔から外れなくなった怪異に怖じ、悔悟して返しに来たところを捕まった。鮨屋の女房おぎんが面箱の二朱銀を見つけたのが発端。教重は盗品を戻し、内分で済んで下総の末寺へ送られた。
No.66
地蔵は踊る 青空文庫 ↗ 安政(1859年)
元号:安政六年八月(安政 1859年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): コロリの流行する安政六年、小石川の高源寺で縛られ地蔵が踊るという噂が立ち、拝めばコロリ除けになると参詣人が殺到する。やがて地蔵が踊らなくなった後、その地蔵堂で女の死体が縛られているのが発見され、探索を命じられた半七が調べ始める。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
高源寺の縛られ地蔵が踊るのは、石屋の松蔵が作った抜け道から坊主らが揺らしていた賽銭稼ぎだった。寺男の源右衛門は抜け道で生き埋めになって死亡。花屋の娘お歌が俊乗に恋慕して脅し、小坊主の智心がお歌を絞殺。俊乗が縛られ地蔵に縛って祈るとお歌は蘇生したが、俊乗は後に自害。住職は遠島、他は追放となった。
No.67
薄雲の碁盤 青空文庫 ↗ 文久(1863年)
元号:文久三年十一月(文久 1863年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 文久三年十一月、本所の旗本・小栗昌之助の表門前に、若い女の生首が古い碁盤に乗せられて晒されていた。用人から探索を依頼された半七は、首の主の見当を付け、吉原の名妓ゆかりの品と伝わるその碁盤の由来をたどって調べ始める。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
女の生首を碁盤に乗せて小栗家の門前に晒したのは力士の万力甚五郎。旦那である伊勢屋由兵衛の囲い者お俊が銀之助と密通し讒言するのを恨んで絞殺し、首を斬って薄雲の碁盤に乗せ、遺恨のある銀之助の実家・小栗家の前に置いた。お俊の薄あばたは白粉で隠されていた。万力は郷里で切腹、碁盤は寺で焼き捨てられた。
No.68
二人女房 青空文庫 ↗ 嘉永(1849年)
元号:嘉永二年五月(嘉永 1849年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 四谷の酒屋・伊豆屋の女房お八重が、府中の六所明神の闇祭り見物の夜に忽然と姿を消す。探索を依頼された半七は、同じ祭りの夜に呉服屋・和泉屋の女房も姿を隠したことを知り、去年起きた和泉屋の養子と調布の女郎の心中事件との係り合いを疑って調べ始める。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
府中の闇祭りで消えた伊豆屋の女房お八重は落語家のしん吉と駈け落ちしたが、百五十両の金を持って男に置き去りにされ、多摩川で入水死した。和泉屋の女房お大は手代の幾次郎に騙されて友蔵の家に預けられ、金を巻き上げられ監禁された。二人の女を捨てて金を奪うしん吉・幾次郎らは死罪となった。
No.69
白蝶怪 青空文庫 ↗ 文化(1812年)
元号:文化九年正月(文化 1812年)
🗣 語られた年:本文に記載なし
あらすじ(結末には触れません): 文化九年正月の寒い夜、音羽のあたりで白い蝶が飛び交う怪異が目撃される。蝶を見た御賄組の娘たちが相次いで病に倒れ、白い蝶が舞い込んだ家には災いがあると噂されるうち、八丁堀の内意を受けた町方(岡っ引の吉五郎ら)が内々に探索を始める。
🎬 結末解説(ネタバレあり)
白い蝶の正体はお近(=主殺しのお亀)が長崎で学んだ邪法で、火の番の藤助と娘お冬が菅糸で飛ばしていたもの。黒沼伝兵衛の死については医者も死因を確と断じられず、異常の驚愕か恐怖のために心の臓を破ったのではあるまいかと覚束なげに診断した。下手人・死因は本文で確定しない。お近は兄の住職祐道に絞殺され江戸川に沈められた。お北は入水、お勝は自害、幸之助は捕縛され、佐藤孫四郎は不正露顕を恐れて自殺した。